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組織について

会長からのご挨拶

  • 会長 山田 雄二

    筑波大学
    ビジネスサイエンス系 教授

このたび、日本金融・証券計量・工学学会(ジャフィー)の第16代会長に選任されましたことを、心より光栄に感じております。これまでジャフィーの発展に尽力された多くの皆様に敬意を表しつつ、私自身、今後の学会のさらなる発展に向けて全力をつくす所存です。

ジャフィーは1993年4月に発足し、2023年度には30周年を迎える重要な節目に立っております。この特別な時期に会長に選任いただいたことを、大変誇りに思っております。1993年の設立当初より、バブル崩壊後の混迷期からアジア通貨危機、サブプライムローン問題、リーマンショック、そして現代のコロナ危機まで、金融市場に多大な影響を及ぼす出来事が相次いで発生しました。これらの出来事は、学会の活動においても重要なテーマとなり、活発な議論が行われました。このようにジャフィーは、その時代の課題に向き合いつつ、過去の事象から学び将来の変化にも柔軟に対応しながら、30年間にわたって成長し続けました。

近年、人工知能(AI)やブロックチェーンなどの新たなテクノロジーの進化が金融分野に大きな影響をもたらしています。このような状況下で、最新の機械学習手法やシミュレーション技術を用いて金融市場を分析する研究が注目を浴びており、ジャフィー大会でも多数の成果が発表されています。今後も、ジャフィーが築き上げてきた伝統的手法を踏まえつつ、新しいテクノロジーや理論の特長を活かした分析がますます増えていくでしょう。

ジャフィーは、日本の計量ファイナンス・数理ファイナンス・金融工学分野において、学術的研究と実務応用を結ぶ重要な架け橋としての役割を果たしてまいりました。また、経済学、統計学、数学、工学など、多岐にわたる専門分野が交錯する場としての側面も有しており、異なる知識領域からの視点が交わることで新たな知見が生まれる環境でもあり続けました。国際交流においても、1997年からアメリカ合衆国コロンビア大学との合同コンファレンス「ジャフィー=コロンビア国際会議」がスタートし、現在はさらにシンガポール国立大学 (National University of Singapore; NUS)、韓国金融工学学会 (Korean Association of Financial Engineering; KAFE) と協力の下、国際シンポジウムを開催しております。今後も、このような国際的かつ学際的な連携を一層強化し、本学会の目的でもある「広い意味での金融資産価格や実際の金融的意思決定に関わる実証的領域を研究対象とし、産学官にわたる多くのこの領域の研究・分析者が自由闊達な意見交換、情報交換、研究交流及び研究発表を行い、それを通じてこの領域を学術的領域として一層発展させ、国際的水準に高めること」(定款第3条)の達成を図っていきたいと思います。

約2年間の在任期間を通じて、理事、監事、代議員の皆様の協力の下、全ての会員の皆様とともに、国内はもちろんのこと、世界でも計量ファイナンス分野の中で中心にいられる存在を目指し、学会のより一層の発展と成長、更なる飛躍を遂げるよう邁進してまいります。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和5年8月28日
山田 雄二