本学会は特許庁の指定する学術団体としての認可を受けています。これにより、会員の方々が本学会の大会で発表される貴重な論文が、特許法第30条の観点から保護されることになりました(2000年8月7日付)。
背景
最近「ビジネス特許」が注目されるようになり、金融商品や金融の仕組み、それらを実現するためのモデルやシステムに対しても特許が認められるという方向性がでてきました。したがって、今後はビジネス・アイデアやそれを実現する為の金融理論についても特許申請の対象となり、JAFEEの大会で発表される論文内容がそのまま特許に結びつく可能性が増大してきました。
認定の目的
特許出願においては新規性が重要され、特許法第29条(特許の要件)では、『「特許出願前に日本国内において公然知られた発明」、「特許出願前に日本国内において公然実施をされた発明」、「特許出願前に日本国内または海外において頒布され刊行物に記載された発明」は新規性を喪失しているため特許を受けることができない』と規定している。 このことは、JAFEEなどの学会の場で発表された論文については新規性を喪失していることとなり、論文内容を特許対象として申請することはできないといことを意味している。一方、JAFEEの大会は、意見交換やモデル・チェックなどをするための貴重な場であり、特許出願を理由とするネガティブ要素はできるだけ排除すべきであると考えられる。特許庁では、このような学会活動の有益性を保護する為に、特許法第30条(発明の新規性の喪失の例外)で以下の新規性喪失の3つの例外規定を設定している。
(1) 試験を行った場合
(2) 刊行物に発表した場合
(3) 特許庁が指定する学術団体が開催する研究集会において文書をもって発表した場合
つまり、JAFEEが特許庁指定の学術団体として認可を受けていれば、JAFEEでの論文発表を特許申請の対象とすることができることになる。
特許申請
特許申請の対象期間はJAFEEでの論文発表から6か月の間であり、この間であれば特許法30条の新規性喪失の例外規定が適用される(特許申請する場合には、この期間内の内に申請を完了する必要がある)。勿論、JAFEEなどの指定学術団体以外の場で既に公然の事実化していものについては対象とはならない。
実際に特許申請をするには、「新規性の喪失の例外証明書提出書」に証明書(JAFEE大会予稿集)を添えて特許庁に提出することになる。なお、2000年の大会より、予稿集が申請時の証明書として利用できように、巻末に発行日付を明記してある。
備考
今後ビジネス特許が盛んになり、理論などが特許訴訟の対象となる可能性もある。特許申請だけではなく、他社からの特許権の主張に対する防御的な意味のためにも、新しい理論やビジネス・アイデアについては積極的に学会発表することで、権利日付を明確化しておくという自己防衛的側面も意識する必要がある。